妊娠・出産によってママの身体は大きく変化し、傷ついています。 痛みやトラブルの原因を見つけ、ママの身体も大切にケアしてあげましょう。
産後ママの身体はものすごく変化している
出産という大仕事を終えたママ。しかしゆっくり休む暇なく、数時間おきの授乳、おむつ替えなど怒涛の育児が続きます。腰も骨盤も痛くて歩くのもままならない、赤ちゃんを産んだはずなのに、お腹がポッコリ出ていて力が入らない、ふとした瞬間に尿もれもしてしまう・・・私の身体どうなってしまったの?
産後のママの身体は妊娠前とは大きく変化しています。妊娠中は赤ちゃんの成長に伴って、お腹が前方へ大きく突き出し、前に突き出たお腹とバランスをとるために胸は後へ反って、逆に頭は前方に突き出した姿勢を取ります。体幹の安定性は前方から側方ではお腹の筋肉群が壁を作り、上は横隔膜、下は骨盤底筋、後ろは腰回りの筋肉群、脊椎などでサポートされていることで保たれています。
妊娠で姿勢が変わることにより横隔膜、腹筋群、腰部筋などの体幹のサポート機能が崩れ、体幹の安定が保てなくなります。さらに出産時に骨盤・内臓を支える骨盤底筋が傷つき、産後の腰痛や骨盤の痛み、尿もれなど様々な症状の原因になります。
妊婦の100%に起こる腹直筋離開
(エコーにて腹直筋離開も評価できます)
皆さんは腹直筋離開という言葉を知っていますか?お腹の赤ちゃんが大きくなるにつれ、前方にある腹直筋が大きく引き伸ばされて、真ん中の白線という筋肉をつなぐ組織が伸びて左右の腹直筋が割れてしまいます。妊娠35週では腹直筋離開は100%みられ、産後6ヶ月でも約40%に残存すると言われています。ただし腹直筋離開の大きさも程度も人によって様々で、お腹のトラブルをほとんど感じないケースもあれば、お腹がポッコリとして見た目が悪いだけでなく、腰痛、骨盤の痛み、尿もれなどのトラブルにつながるケースもあります。
でも放置はしないで。さまざまなエクササイズやトレーニングに症状を改善させる効果があることも報告されています。たとえば骨盤底筋群トレーニングが、ママの尿もれ予防に効果があることは、多くの研究で明らかとなっています。一方、ポッコリお腹をなおすために腹筋を鍛えようと、自己流の運動をすると効果が低いばかりか、かえって腹直筋離開を大きくしてしまうこともあります。だからこそ体幹の前方にしっかりとした壁を作り直す適切なエクササイズが必要です。体幹の壁を作り直し、体を支えるサポート機能を元に戻すには産後1年程度はかかるので、焦らなくても大丈夫。様々なエクササイズが報告されていますが、産後ケアを行っている整形外科医に相談するものするのも良いでしょう。どうしても子どものことを優先してしまい、自分のケアが十分にできていないママがほとんどです。痛みは体からのシグナルなのでしっかり向き合い、ママの身体も大切にケアしていきましょう。