昭和医科大学病院 教授 関沢明彦
妊娠糖尿病の診断基準
以下の基準値のいずれかを満たすと、妊娠糖尿病と診断されます。

※75gのブドウ糖を飲んで行う検査(ブドウ糖負荷試験)での値
- 妊娠中は、胎盤からのホルモンの影響で血糖値が上昇傾向に
- 高血糖が続くと巨大児や帝王切開のリスクが上がります
- 食事療法を基本に対策をして、合併症を防ぎます
妊娠中に初めて見つかった 糖代謝異常=妊娠糖尿病
糖代謝異常とは、一言で言うと「血糖値が上がりやすくなっている状態」のことです。
妊娠すると、胎盤から出るホルモンの影響で、「インスリン」という血糖値を下げるホルモンが効きにくくなり、誰でも血糖値が上がりやすい状態になります。この仕組み自体はおなかの赤ちゃんに栄養を行き渡らせるための大切なものなのですが、人によってはそのせいで血糖値が基準値を超えてしまうことがあります。これを「妊娠糖尿病」とよびます。お母さんの血糖値が高いと、赤ちゃんも高血糖になり、体が大きくなりすぎる「巨大児」になりやすく、難産、帝王切開のリスクが上がります。
治療の基本は食事療法 人によってはインスリンをプラス
妊娠糖尿病と診断された場合は、合併症を防ぐため、赤ちゃんに必要な栄養は確保しつつ、血糖値が急上昇しないようにする必要があります。治療の基本は「食事療法」です。1日の総カロリーを守りながら、食事を5~6回に分けて食べる「分割食」で、食後の高血糖を防ぐ方法をとることが多いです。食事療法だけでは血糖コントロールの目標を達成できない場合は、「インスリン注射」を使います。インスリンは胎盤を通れないため、赤ちゃんへの影響はなく、安全に血糖値を管理できます。産後は多くの場合、正常な血糖値に戻りますが、将来的な糖尿病リスクを踏まえ、定期的な検診が必要です。

