長崎大学病院 教授 三浦清徳

赤ちゃんを授かっても流産・死産を繰り返してしまうと、悲しみとともに、「なぜ自分だけが」「次もまた流産・死産をするのでは」という不安が大きくなり、心の負担を感じることも少なくないでしょう。
妊娠しても流産や死産を2回以上繰り返す場合、「反復・習慣流産、不育症」と定義されます。不育症には、以下のようないくつかのリスク因子(原因)があります。
・血液の要因 (血が固まりやすい): 抗リン脂質抗体症候群、プロテインS欠乏症など
・子宮の要因 (形や状態の問題):子宮奇形、中隔子宮、子宮筋腫など
・内分泌の要因 (ホルモンの問題):甲状腺機能異常(亢進症、低下症)
・染色体の要因 (夫婦どちらか):均衡型転座などの染色体異常
これらのリスク因子は、検査(血液検査、超音波検査、子宮鏡、MRI)によって見つけることができます。原因がはっきりすれば、それに応じた治療を行います。抗リン脂質抗体症候群であれば、低用量アスピリンやヘパリンという血流をよくする薬の使用が考慮されます。子宮の形に異常があれば、手術で治療することもあります。甲状腺機能の異常は、チラージンなどの薬でコントロールします。
しかし、原因がわからない場合もあります。実際、不育症の方の半数以上は「原因不明」と診断されます。不安になるかもしれませんが、それでも半数以上の方が次の妊娠で無事に出産できているという報告もあります。
不育症では、希望を持ち続けることが大切です。「次こそ大丈夫」という安心感が出産率の向上につながるともいわれています。不育症を専門とする医療機関や、臨床遺伝専門医、専門のカウンセラーからのアドバイスを大切に、次の一歩につなげていきましょう。

