風疹(ふうしん)ワクチンは生ワクチンなので、妊娠中に受けることができません。風疹(ふうしん)抗体価の低い妊婦さんは、産後すぐにワクチン接種をしておきましょう。
風疹(ふうしん)の抗体がなかったら家族と職場も協力を
妊娠中に受ける人が多いのはインフルエンザワクチンです。これは不活化ワクチンなので、妊娠中でも受けることができ、妊婦のインフルエンザ重症化予防に最も有効とされています。また、生後6か月までの赤ちゃんがインフルエンザに罹る率を減らすという報告もあります。 一方、生ワクチンは妊娠中に受けることができません。
特に気をつけたいのは、風疹(ふうしん)です。妊娠第20週頃までの妊婦が風疹(ふうしん)ウイルスに感染すると、胎児にも感染して、赤ちゃんが先天性風疹(ふうしん)症候群という病気を発症する場合があります。風疹(ふうしん)抗体価が陰性、あるいは赤血球凝集抑制法(せっけっきゅうぎょうしゅうよくせいほう)(HI法)で16以下の低抗体価であった場合は、家族や職場にも協力してもらい、予防を心がけましょう。また、次の妊娠のことや、周囲の妊娠可能性のある方のことを考えて、できれば産後すぐにMRワクチンを受けておきましょう。MRワクチンを受けていても授乳は可能です。一部の産婦人科では、お産後すぐの入院中に接種するケースもあり、ワクチンを受けてから赤ちゃんといっしょに退院しているようです。1カ月健診が終わると、お母さんは自分のことより赤ちゃんのことが中心になり、自分自身の予防接種のために受診する機会を確保するのが難しくなってしまうので、遅くとも1カ月健診時にはMRワクチンの接種を済ませておきたいものです。受ける回数は子どもの頃を含めて2回です。記録がない場合は、受けていないと考えます。
For Men
感染予防にはパートナーや家族の協力が不可欠!
昭和54年4月1日以前に生まれた男性は風疹(ふうしん)の予防接種を受けておらず、風疹(ふうしん)の抗体を持っていない人が大勢います。妊婦が風疹(ふうしん)抗体陰性あるいは低抗体価で、パートナーも抗体がなければ、パートナーから妊婦に風疹(ふうしん)をうつしてしまうこともありえます。家族が感染源とならないよう、できるだけ早く(理想的なのは妊娠前です)MRワクチンを受けておきましょう。抗体検査をしてからという方法もありますが、陰性あるいは低抗体価とわかったのに放置している方がいます。抗体検査を受けずに予防接種を受けても医学的には問題ありません。職場での感染もありえますので、妊婦の同僚にも風疹(ふうしん)予防の協力をお願いしましょう。「子どもの頃に予防接種を受けたと思うけど…」あるいは「風疹(ふうしん)にかかったことがあると思うけど…」は、記憶違いも多いので、鵜呑(うの)みにしないようにしましょう。