東京大学大学院 医学系研究科 教授 春名めぐみ

- 適切な量と質でバランスのよい食事が基本
- 食中毒予防のため、生肉やナチュラルチーズは避けましょう
- 大きなお魚は水銀に注意して種類と量を調整しましょう
バランスのよい食事が基本葉酸、鉄、カルシウムを特に意識
妊娠中の食事は、お母さん自身の健康の維持だけでなく、おなかの赤ちゃんの健やかな発育にも重要な役割を果たします。そのため、栄養のバランスが非常に大切です。つわりが落ち着いてきたら、少しずつ意識していきましょう。
たとえば、赤ちゃんの神経管の発達に必要な「葉酸」、貧血予防のための「鉄」、赤ちゃんの骨や歯の基礎となる「カルシウム」は、妊娠中に不足しやすいため、積極的に食事に取り入れることが推奨されます。便秘や急激な体重増加の予防に、食物繊維を多く含む野菜やきのこ類、タンパク質の豊富な鶏のムネ肉、ささみ、豆腐などもおすすめです。
食中毒から赤ちゃんを守るため、なるべく加熱された食品を
妊娠中は、免疫機能が変化するため、普より食中毒にかかりやすくなります。
なかでも、生ハムやスモークサーモン、ナチュラルチーズ(プロセスチーズは除く)なの加熱されていない食品に存在しやすい「リステリア菌」は、赤ちゃんに影響を及ぼすことがあります。
また、生肉や加熱が不十分な肉に潜む「トキソプラズマ」という寄生虫は、妊娠中に初めて感染すると赤ちゃんに影響が出る可能性があります。これらのリスクを避けるため、肉や魚はもちろん、生で食べる野菜もよく洗い、食品は中心部までしっかりと加熱することを徹底してください。
意識して摂りたい栄養素
葉酸

赤ちゃんの器官形成をサポートする重要な栄養素。特に妊娠初期に多く必要です。ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、枝豆、納豆などに多く含まれます。葉酸については食事からしっかり摂ることを心がけ、加えてサプリメントも活用し、上手に取り入れましょう。
鉄

赤ちゃんの身体や血液をつくるため、妊婦さんの体内では多くの鉄が使われます。赤身の肉や魚、小松菜、ほうれん草、あさりなど、鉄分の豊富な食材を意識して摂りましょう。ビタミン Cを含む食品(野菜や果物など)と一緒に摂ると吸収率が上がります。
カルシウム

赤ちゃんの骨や歯の基礎となる栄養素です。牛乳・乳製品のほか、小魚、海藻、緑黄色野菜などにも多く含まれています。人の体内では作れない栄養素であり、日本人の多くは、カルシウムの摂取量がもともと少ないので、妊娠中はより積極的に摂りましょう。
食物繊維

妊娠中はホルモンの影響などで便秘になりやすくなります。野菜やきのこ、海藻、いも類、豆類など、食物繊維が豊富な食品を積極的に摂りましょう。食物繊維とカルシウムの両方が豊富な切り干し大根もおすすめです。水で戻したものをサラダにすると簡単に摂れます。
摂取量や頻度に注意したいもの
魚介類(水銀)

魚は良質なタンパク質やDHAを含みますが、一部の魚は食物連鎖によって水銀を多く蓄積しています。一定量を超える水銀は、赤ちゃんに影響を与える可能性があります。キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)などは週1回(約80g)までを目安に。サケ、アジ、イワシ、サンマ、サバなどは特に心配ありません。
ビタミンA
レバー、うなぎなどに含まれる動物性のビタミンAは、妊娠初期の過剰摂取に注意しましょう。野菜などに含まれるβ-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変わるため心配ありません。
アルコール
妊娠中の飲酒は、赤ちゃんの低体重や形態異常、脳の発達に影響する「胎児性アルコール症候群」を引き起こす可能性があります。妊娠期間中は、量にかかわらず控えましょう。
カフェイン
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれます。過剰に摂取すると、赤ちゃんの成長に影響する可能性が指摘されているため、摂りすぎに注意。コーヒーなら1日に1~2杯程度にしましょう。
ひじき
ひじきには無機ヒ素が含まれていますが、これは水溶性のため、水で戻すと減らすことができます。毎日大量に食べるのでなく、小鉢で週1~2回程度食べることは問題ありません。

